道徳科は全人教育で


                    著書(湘南社)
 文科省は道徳を道徳科として科目に位置づけることにしたことは喜ばしいことであります。「日本人は道徳を如何に教えるのか?」の問いに新渡戸稲造氏は「武士道である」と答えたのは有名です。
私は「武士道」=「氣」だと思います。
 全人教育は私が43年間勤務をした玉川学園が日本初です。
創立者小原國芳先生は吉田松陰の塾教育を提唱し、師弟同行の教育「君は薪を拾え、我は水を汲まん」の教えを玉川の柱としてきました。私は小原先生の教えで昭和45年から48年の3年間、日本中から集まってきた中学生約80名と24時間寝食を共に過ごすという貴重な体験をしてきました。玉川学園「青雲塾教育」です。
当時の生徒達が現在日本の教育界で大活躍をしています。
 これこそが「氣」の教育です。

玉川学園の「全人教育」は学問、道徳、芸術、宗教、身体、生活の6つの部門、真,善、美、聖、健、富の調和的な発達を教育目標としています。これらが宇宙の中でコスモスの花のように開き、調和の取れた人格を目指すのが「全人教育」です。宇宙には氣があり、それ故地球が存在し、人や動植物、全ての物が存在しています。氣とはオーラであり、生命エネルギーです。この氣の存在を理解し、感謝することが出来たときに人の心からエネルギーが出てきます。氣とは人間誰もが持っている生命エネルギーなのです。自然体で「心身一如」「心身統一」をし、天地万物に感謝し、心を鎮め、リラックスした時に出るものです。この氣の力を全人教育の理念に取り入れ、真、善、美、聖、健、富の全てに活用するのです。そうすれば美しく調和の取れたコスモスの花がさらに輝きを増すものと確信します。この氣を身体に取り入れて活用すれば全人教育の6部門を完成させるために大きな力となりえます。
 
 生徒達や親との意志の交流をはかり、心と身体を健康にする武道の呼吸法を教えれば、子供達が元気を取り戻し日本の教育も再構築出来ると信じます。武道を通して宗教心を育てることが出来るのです。    

 「真」 学問は真理の探究であり、それには集中した氣の出る学習姿勢が必要です。      
    人間集中するためには腰椎を真っ直ぐに立て「心身を統一して」やる「氣」を出すことが大切です。
 
 「善」 道徳教育、すなわち善なるものを育てる時に大切なのは「プラスの言葉」を使い、プラスの行いをさせることです。すなわち「プラスの氣」をクラス内で、家庭内で広げ、社会生活で、人にどんどん「プラスの氣」が広まれば世の中が明るくなります。

 「美」 芸術の世界でもまた同じである。絵を描くときにも、演奏する時でも、天才であればあるほど自然に氣を出せます。「氣を出す姿勢」が自然に理解出来ています。重みを下に置き、心を鎮めて事に当たれるのです。

 「聖」 キリストは愛、釈迦は慈悲、マホメットは信、宗教の全ては愛と信である。宇宙の「無限の氣の力」を信じ、自分の力を信じて「心身を統一する」と愛と信念の「氣の力」が必ず出ます。

 「健」 健康な身体は心と体が一つになった時に初めて生まれます。肉体的に強くなるだけでは真の健康とはいえない。「心身を統一」して氣を出せるようになれば病も去り、健康な身体になれます。

 「富」 豊かな生活を営むためには積極的な仕事への情熱が必要です。その情熱を燃え立たせるのが氣です。やる「氣」を出し、目標をはっきりと持って誠心誠意仕事をすれば富は必ずついてくるのです。
  
 全人教育をさらに「佳氣あふれる教育」とするためにあえて今、「心の教育」と「氣」を全国の教育者の方々にご提案したいと思います。本大学の学生にもクラブ活動のみならず教師を目差す者には是非おすすめいたします。
この世に生きていることに感謝出来ることを学ぶ心の教育です。
すなわち道徳教育です。

来週は京都で、当時の青雲塾生達と40年ぶりに会います。