全国の先生方へ
東京都私立中学高校協会主催「生き方教育研究会」の講演に出かけてきました。
市ヶ谷のアルカディアで行われた講演の内容です。
こんばんは。玉川学園の高等部の栗田と申します。
藤井先生、きょうはお招きをいただきましてありがとうございました。
昨年の夏に、鎌倉の円覚寺で坐禅がありまして、そのときにご一緒していただいた先生方も何人かいらっしゃるみたいですが、私自身は福島の出身なものですから、この震災で子供達が、私の母校も含めて、心を痛めているのをちょっと放っておけないなという思いがありまして、「福島に元氣を!3・11復興支援プロジェクト」の共同代表となり、心の支援教育のボランティアに出かけてきました。
このボランティア活動は、武道の合氣道を通しての“心の教育”です。合気道のルーツは私のふるさと会津藩の極秘の技大東流合気柔術でした。(禅と合気道:東京大学鎌田教授)武田惣角から植芝盛平先生に伝わり、流派が分かれました。
私が今からお話をするのは心身統一合氣道10段の藤平光一先生に学び、これを応用してNPO法人「氣の活用コム」の岡村隆二理事長が始められたものです。岡村理事長と副理事長の私は共同で「心を強く持たせるにはどうしたらいいか」という技をこの教育ボランティア活動を通して福島の子供達に実技を入れて教えて来ました。今日は実際に皆様に二人ペアになっていただいて、この実技をお教えいたします。「この力は何だろう。なんでこんな力が出るのだろう。」ということを実際に子供達に示してきた技がいくつかあります。全部はご紹介できませんが、その中のいくつかを皆さまにお見せしながら今日の話を進めていきたいと思います。
演習
〈氣とは〉
では、実際にちょっと皆さんに体験していただきたいことがあります。お近くの方と2人1組になっていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
子供達に心を強く持つとどのようになるのか、何故プラスの言葉を使うと体がプラスに動き、マイナスの言葉を使うと体がどうなってしまうのか、ということを具体的に皆さんに体験していただきます。これは皆様の学校でも使えるのではないかというヒントが必ずあります。それではこれから皆さんやっていただきたいと思います。
まず、最初に「氣力」という言葉がありますね。この「氣」というのはいったい何だと思いますか。
「氣持ち」の「氣」ですね。「元氣」の氣ですね。「勇氣」「活氣」「氣合い」沢山ありますね。氣力というのはどういう力なのでしょう。これは人間だれでもが持っている力です。でも、これは意識しないとやはり出ないのです。いわゆる“心の力”です。人間の生命エネルギーです。心で自分が「大丈夫だ」と言えば、ものすごい力が出るのです。四方八方に飛び散るように出る力なので、漢字ではこの「氣」を使います。
一番前の女性の方、ちょっと前に出てきてください。
まず自分の右手を頭にあげてみてください。この手を私が剥がそうとすれば、簡単に手は剥がせますね。今度は剥がされないように、自分の手の力で抵抗してみてください。
力で抵抗しているその手を私が剥がしてみると、少し抵抗はあってもやはり剥がれますね。
そこで、心の力、氣の力を使うとどうなるか。
心の力はどのようにしたら出せるかというと、「絶対に剥がれない!」という氣持ちを強く、強く持つのです。「もう瞬間接着剤でくっついた!もう誰も剥がせない!」と思って下さい。そうすればいくら私力を入れて剥がそうとしても剥がれません。これが氣の力です。
私がいい加減な力でやっていると思われると困りますので、実際やってもらいます。「そこの方、前に出て剥がしてみて下さい!」「ほら、剥がれないでしょう!」
では、皆さんにやっていただきます。いいでしょうか。
まず、普通にしていますと、簡単にはがれます。力だけで抵抗しても、はがれます。ところが、心の力、氣の力を、「絶対剥がせない!私の手と頭はくっついた!」と思います。
はい、強く思ってください。
手が剥がれてしまった人は心を強く持つことが出来ない人です。その人の手は剥がれてしまいます。
今、手を当てている時に「いやそんなことはあり得ない」と思ったらすぐに剥がれます。「だめだ」と思った瞬間に氣の力は切れます。「やばい」と思った瞬間に剥がれるのです。
「私は大丈夫だよ!」という心を持ち続けなさいということを福島の子供達に教えてきました。強い心を持ち続ければ手は剥がれないし、心は折れません。しかし、だめだと思った瞬間に手は剥がれるし、心が折れます。福島の10校の生徒達はいくつかの氣の技を通して強い心を持つことの大切さを理解してくれました。
では、お互いにやっていただきましょう。
〔2人1組みになって演習〕
これが氣の力です。人間の心の力というものは、氷山の一角にたとえられています。まずこの海に浮かんで見える部分が肉体の力で、海の中に沈んでいる目に見えない大きなものが心の力です。心の力が「氣の力」です。
それではこの氣の力がどういうときに出せるのかというと、体と心が一つになったときに出ます。「私は出来る!大丈夫!」と心を強く持って何事にも取り組む時に出ます。これを心身一如と言います。本当に体と心が一つになったときにものすごい力が出ます。
原則は、『心が体を動かす』です。自分の心の力が強ければ強いほど体はしっかりとついていきます。心は運転手、体は車です。
自分が、しっかり「もう大丈夫だ」、「私はこちらに進む」と心を強く持てば、持つほど強ければ強いほど体がついていきます。
それでは、最初の技です。
皆さんは子供達には、「元氣を出しなさいよ」とよく言いますが、元氣はどうやって出せるのでしょうか。子供達にはそれが目に見えないわけです。しかし、この技を目の前で見せてあげれば、元氣の出し方を即理解させることが出来ます。しかもこれが目に見えるので、子供達は驚きます。そして即元氣になります。福島の10校の子供達から「氣の講習のお陰で、元氣になりました」と沢山の手紙をいただきました。
では、鎌倉でご一緒だった先生、すみませんが、前に出て来ていただきたいと思います。
「氣を出してみてください。」
○「氣を出すんですか。」
○「栗田 はい。」
どのようにしたら氣が出せるか。また氣の出ている状態をお互いに確かめ、この技をぜひ皆さんの学校で子供達に教えて下さい。
腕を前に出してください。真っ直ぐではなく、ちょっとクの字型の状態で出してください。
何も思わないでいるとこれは簡単に曲がります。そこで拳をぐっと握ってください。そして先ほどと同じように、肉体の力で曲げられないように頑張ってみてください。
ところが、やはり曲がってしまいます。
では、氣の力を使います。ここから向こうの壁に向かって氣が出ていると思ってください。腕が消防士のホース、心がポンプ、中を流れて行く水が氣」と思って下さい。これが元氣を出すということです。「水が流れている!氣が出ている!」と強く思うのです。この状態の腕を曲げようとしても絶対に曲がりません。
これが「氣が出ている状態です!」。お解りになりましたね。これが氣の出し方です。
これが「いや、そんなことない。氣なんて出せない。」と思った途端に、一瞬で腕は折れます。心も折れます。お互いに子供達に実験させると本当によくわかります。
小学生にわかりやすく話す時には、君はウルトラマンになったと思いなさいと、教えます。そして心を強く持ち「私はスペシウム光線を出している!」と思えば本当に氣が出て腕が折れなくなるのです。子供達は「スペシウム光線が出ている!」と心の中で言った途端、目に見えないスペシウム光線が出て腕が折れなくなるので、驚きます。その瞬間本当に氣が出て体と心が一つになり、集中力が身に付いてきます。
本当にスペシウム光線が出ると思った子供の腕は、二人で曲げても曲がらないほどの力となります。合氣道というのは、力を入れないで相手を倒す技ですが、実は心の技です。心で「大丈夫だよ。さあ、かかっておいで。力じゃないよ」といったら、ものすごい力が実は出るのです。相手の心を導いてその力を自分の力としてしまうのです。
では、もう一回、「スペシウム光線が出ている!」あるいは言葉で「私は大丈夫!」と言って下さい。
○「私は大丈夫!」「スペシウム光線が出ている!」
○「私が曲げてみます。」・・・・・ 曲がりません。ものすごい力が出ています。
次に、「もうだめだ」といってください。
○「もうだめだ」
○「ほら、言った瞬間に簡単に腕は折れました!」 一瞬に、こうなります。言葉と想いは全部つながっています。言霊です。これを子供達に教えたいのです。マイナスの言葉を言うと心はマイナスの方向にしか行きません。プラスの言葉を言い続けている子供からはいつもプラスの氣が出ているので心も体も折れないのです。子供達はびっくりして、感想文のほとんどに「これからは良い言葉を沢山使うことにします。」と書いてくれました。
これをまた二人で体験してください。
〔お互いに演習〕
ありがとうございました。皆さん、お出来になられましたか。
帰ってお子様方に伝えられますか。大丈夫ですか。
まず一つ目の技でした。
元氣を出すということがどういうことなのか、氣を出して勉強するというのはどういうことか、授業中、氣を出して聞くということは心と体を一つにすることなのです。プラスの氣の言葉の大切さ、氣の姿勢の大切さを子供達に教えて下さい。
〈全身の力を完全に抜く〉
二つ目の技は、全身の力を完全に抜く。全身の力を完全に抜くとどうなるでしょうか。
まず普通に立っていてもらいます。このように片方の人がしゃがんで真下に引っ張ると、完全に倒れますね。「気をつけー!」といって、力を入れて立ってもらいます。力を入れて立ってみても、引っ張られると簡単に倒れますね。
「力まないでプレゼンテーションをしなさい」「力まないで発表しなさい」「スピーチしなさい」といわれます。「力まないで打ってこいよ」「力、抜いていけよ」と、部活動の先生はおっしゃいます。では、どういうふうにしたら、一番リラックスして完全に力を抜いて出来るのでしょうか。
これは、心身統一合氣道の技で、実際にこれを使っているのは、松井選手であり、イチロー選手でしょう。過去にオリンピック選手や、佛教大学女子駅伝のアスリート達にこの技は教えられてきました。ここ一番のアスリート達にとってこの技は特に有効です。
ではお教えしましょう。このまま両手を下に出して、水道で手を洗った時にハンカチがないから仕方なく水を切る時の仕草で、手をぶらぶらと強く振ります。ちょっと長めに20秒くらい振ります。
そして少しずつ、半分、半分と、すぐに止めないで、ゆっくり静止させます。それでもまだ動いているというイメージを持った状態です。これが真のリラックスした状態です。この時、先程と同様に手を下に引っぱっても体と心が一つになっていてびくともしません。これは『全身の力を完全に抜く』という心身統一合氣道の技です。
心が動揺したり、ピンチヒッターになったけれど、大丈夫かな、とか、放射能は怖いな、テストが心配だな、と思ったときにこそこれをやりなさい、と教えてきました。
それでは、皆さんに試してもらいます。
お立ちください。お互いに何もしない状態で立っていただき、下にそっと引っ張ってください。簡単に引っぱられてしまいますね。
力を入れて頑張って立っても、引っぱられてしまいます・・・
ところが、完全に力を抜く技、20秒間手をブラブラと思いっきり振ってください。
大学の脳科学の教授に聞いたところ、人間の脳にはパルスという100ミリボルトの弱い電流が流れているそうです。私が思うにはリラックスするこの技の秘密はここに隠されていると思います。リラックスして出来た強いパルスが氣となって体の中に充満し、完全に力を抜くと、ものすごい力が人間には出てくるのだと思います。
そしてゆっくりと、半分、半分、半分と弱めて止めた状態で、ペアになった先生はこのように左側に座って、左腕を下に引っ張ってみてください。
〔演習:ブラブラさせて、リラックスした状態の人の左腕を引っ張る〕
はい、完全にできていますね。ビクともしなくなります。これがリラックスして氣が出ている状態です。
振り方が足りなかったり、思いが足りなかったり、急にとめたり、止まらなかったりすると、引っぱられて倒れてしまいます。
皆さん、出来ましたね。ありがとうございました。
〈臍下の一点に心を静め、統一する〉
次に、これは心身統一合氣道の技では一番の技です。「臍下の一点に心を静め、統一する」という技があります。臍下の一点。臍というのは、へそです。弓道でも、「臍下丹田に心を静めて弓を引きなさい」とありますが、心身統一合氣道では臍下の一点なのです。この一点というのは、なかなか見つけにくいところがあります。
藤井先生、ちょっとお願いできますか。
藤井先生は、少林寺の七段です。すばらしいですね。
一応先生は知らないということで私がテストをいたします。藤井先生の右側に私が立っています。右側に立ち、左手の3本指で軽く後ろに押させていただきます。藤井先生は少林寺をやっていらっしゃいますので、かなり力が強かったのですが、後ろに下がりました。
それでは、体のどこに自分の気持ちを持っていったら動かなくなるかということを皆さんに発見していただき、これから体験していただきたいと思います。
例えば、「頭にきた」という言葉があります。頭に気持ちが行くと氣は出ません。福島の人達は皆さん忍耐力があります。放射線事故に対して、または政府や東京電力の対応に対して福島県弁では「ごしぇやける」と言います。頭にくるということです。しかし、気持ちが頭にくると、氣は出ません。頭のことを考えていただいた藤井先生は後ろに倒れてしまいました。どこに気持ちを持っていったらいいかというと、臍下の一点です。ここに心を静めるのです。臍下の約15センチのワンポイントです。藤井先生、そこに自分の気持ちをしっかり鎮めてください。そうしたら、はい、盤石です。押しても押せませんし、倒れません。これが臍下の一点に心を鎮め体と心を統一した状態です。
これは、すべてのアスリート、何の競技でも、プレゼンテ―ションでも、歌を歌うときでも、演奏するときでも、ブレません。ここ一番の力が発揮出来る技です。特にスポーツの大会や、音楽のコンクールなどでここ一番の力を要求される先生方にはぜひ伝えてください。実力以上の力を発揮します。無心になれて、あがりませんし、音がブレないで、体の中心から力が出ます。人間の生命エネルギーです。合氣道では、宇宙と自分の体が一つになるそのワンポイントというのは、この臍下の一点です。そこに気持ちを置いて走ればぐんぐんスピードも出ます。また走っていてもつらくなくなります。火事の中で運び出そうと重いものを持ち上げた後で、「えっ、私って、なんでこんな重いものを持ち上げられたの?」と思うことがあるそうですが、いわば火事場の馬鹿力というのは氣の力です。本能的にそこに心が行って思わずに持ち上げることが出来るのです。
マンションの5階から子どもが落ちるのを見て、買い物から帰ってきたお母さんがそこから子どもが落ちるところまでダッシュで行き、ものすごい勢いで走って子供をつかまえたというニュースがありました。あれが臍下の一点で走った走りなのです。関口宏のワンダーランドという番組でこれを検証し、その時速を調べたところ、オリンピックの100メートルの選手がダッシュする時に近いくらいの勢いで、「自分の子供が落ちる!大変!」という心で、ダーッとダッシュした母親の力、それが氣の力です。無心で本能的に臍下の一点から出た力だと思います。
それでは、その臍下の一点をお互いに実験して発見して下さい。
最初に気持ちを頭に置いたときにちょっと押してみる。次に肩に気持ちを置いてみて下さい。ところが臍下の一点に置いたら、ブレません。この技は、日常生活万般に使えます。電車の中に乗っていようが、階段を昇るときであろうが、後ろから将棋倒しで押されても、地震が来ても倒れないでしょう。
私は今、学校の階段を2段飛びで上がっています。エレベーターもありますが、そんなものは一切使いません。通勤は車を使わず、臍下の一点で歩いています。疲れを知りません。3年前に岡村代表が京都の仏教大学の女子駅伝チ−ムにこの氣を伝えました。すると2年連続で、全日本大学女子駅伝で優勝しました。この技は恐ろしいです。スピードが出すぎるので抑え気味の走らないといけないくらいです。疲れもさほど感じなく走れます。
では、お互いにそれを見つけていただきます。
臍下の一点に心を静めて心と体を統一したら、どれくらい体のブレがなくなるか。ゴルフをやられる方がいたら、ぜひこの一点でクラブを振ってみてください。野球の素振りもすべてこの一点です。王選手は最初にお伝えした心身統一合氣道10段の藤平光一先生から指導を受けて、一本足打法を習得しました。講談社新書の「氣の威力」という本に写真入りで載っています。この一点からの一本足打法で世界一のホームラン王になりました。
〔演習〕
女性の方はわかりづらいと思いますが、教え方としては、大人の女性の方には「恥骨の一点に心を静める」と教えています。
ワンポイント、そこに気持ちを全部持っていく。これが本当の姿勢です。「姿勢」とは姿に勢いと書きます。勢いの出ている姿勢。文字通り姿に勢いです。この姿勢は疲れないのです。武士の姿勢で、体と心が一つになる姿勢です。新渡戸稲造先生はこれをわかっていらっしゃったのだと私は思います。
「学校で宗教教育というものが無いとは、いったいあなた方はどのようにして、子孫に道徳教育を授けるのですか?」とのラブレー氏の質問に、私は愕然とし、即答できなかったが、その答えは「武士道」である・・・」と、述べています。
「武士道」の教え、「姿勢」の大切さ、これは道徳教育に繋がります。これが「氣の教育」です。最近、私の学校でも授業中の姿勢がとても悪い生徒がいます。皆さんの学校はどうですか。しかし彼らが姿勢を正すだけで集中力が身に付きます。私はこれを生徒達に伝えています。悪い言葉を平気で使う子供もいます。言葉遣いも良くありませんね。このような子供達にこのことを解らせ、姿勢を良くし、プラスの言葉を多く使うように導くだけで、子供達は集中して学習が出来、良い行いも出来てくるのです。
〈すべての体の重みをその最下部に置く〉
すべての体の重みをその最下部に置く。顔の重みは、最下部といったら顎です。腕の重み、立った場合は指先です。上げた場合は腕の下です。立っている場合は、体の足の親指の付け根です。総ての重みをその最下部に置く。これが真の落ち着きです。落ち着いてやるとは心をそこに置くことです。
おまえ、ピンチヒッターに出すから落ち着いて打って来い。これでは何をどこに落ち着いて打ったらいいのか子どもたちは解りません。
これは、藤平先生が松井選手に巨人時代に打てなかった時に教えたのが、松井の打法です。彼は、重みを下に置いて打つ。全盛時代、松井はそれを確認して、バッタ−ボックスで肩を上下二回上げ下げして重みを下に置くことで確認して打っていました。しかし最近はこれを確認しているのを忘れているなと私は思います。その確認が無いまま打った時には、やはりボテボテのゴロだったり、フライだったりするのをよくみかけます。
すべての重みを最下部にしっかり置いて打っているときの松井はとても調子がよかったです。かなり前のことで、藤平光一先生も昨年亡くなりにました。彼はもう一度初心に戻り、先生の教えを思い出し、そのことを確認すればまだ打てるのではないかと私は思っております。
先程のパワーポイントの写真で私が小学生を持ち上げていたのがありますが、あれは、心と体がバラバラなので、「高い、高い〜」といえば簡単に上がってしまうのです。ところが、あのくらいの子供でも、重みを下に置く。重みは総て下にあるよと自分で意識出来れば、いくら力のある大人でも持ち上げられません。これも心身統一合氣道の技です。それは、自分の心をコントロールして、体と心を一つにできた子供はできるのです。素直な子供ほど即出来ます。福島の子供達は、「ああ、僕にも出来た。僕にもすごい力が出せた!」と、喜んでくれました。子供達の眼の色が輝いてくるのを見ると、「ああ、来てよかった、今後も福島に出かけて行くぞ!」と思わずにはいられません
「人生の最も苦しい、いやな、つらい、損な場面を真っ先に微笑を以って担当せよ!」これは私の学校のモットーです。創立者小原國芳は、運動会の時の挨拶は次の一言だけ言われました。「我々の競争相手は、無限大の大空、確固不動の大地、しっかりやりましょう。おわり!」この一言で子供達は、「さあ今日は氣を出して頑張るぞ!」という氣持ちになりました。いわゆる他人との競争ではなく、「無心になって、天地融合心身一如、天と大地を相手に自分は一生懸命に頑張ろう!」という気持ちを持てば、どんなスポーツでも音楽でもうまくいくよということを教えているのです。
良い言葉の大切さです。腕を前に出して、氣が出ていると思い、「氣が出ている」と言葉に出していってください。
○「氣が出ている。」
○「ほら、もうバリバリと氣が出ています!」
逆に「氣が出ていない」というと、一瞬で簡単に腕が折れてしまいます。
○「氣が出ていない。」
○「ほら、簡単に心まで折れてしまいます!」
一番氣の出る言葉があります。皆さんこれは何だと思いますか。
それは「ありがとう」です。感謝の言葉です。
「ありがとう」と言ってください。
○「体と心が一つになる最高の言葉です!」この言葉は言えば言うほど心身が強くなります。
これを是非とも日本の子供たちに教えて欲しいのです。プラスの言葉の大切さです。
悪い言葉で、「ばかやろう」と言って下さい。
○「ばかやろう。」
○「言った瞬間に簡単に折れます」
「私は大丈夫!」と言ってください。
○「私は大丈夫!」
○「ほら折れません!」
○「もうだめだ」と言って下さい。
○「もうだめだ。」
本当に怖くなるほどに言葉は体と心と繋がっています。教室でも、家庭でも、マイナスの言葉を絶対使わないことです。「おまえはだめだ!」「だめだ!」と言ったら自分が「だめ」になってしまいます。プラスの言葉を使うことの大切さを福島の子供達に教えてきました。
いつでも明るく、積極的なプラスの言葉を使うことです。「ありがとう!」「私は大丈夫!」「頑張ります!」「私は出来る!」「好きだ!」「愛してる!」
〈三位一体の元氣な笑い〉
福島の皆さんに最後に教えてきたこと「辛いときこそ、笑いましょう」「三位一体の氣の笑いです」です。これを子供達、親御さん、先生方、福島の先生方と一緒に笑ってきました。実際には本当に大変です。逃げ出したい先生もいると思います。でも逃げていられません。子供達を誰が守るのですか。辛いときこそ、子供達と一緒に笑ってください。三位一体の元氣な笑いです。
氣を出して笑うということです。これは、総ての重みを下に置く、臍下の一点に心を静める、そして氣を出して「ありがとう!私は大丈夫!」という折れない腕の状態で、ハヒフヘホのハの口の構えで笑顔で大声で笑うのです。
「アッハッハッハッハッハッハー、アッハッハッハッハッハッハー」、氣の技というのは全部2回で完成するのです。肩を上下、二回下ろしただけで臍下の一点に心が静まります。
授業中、集中力が途切れた生徒には私はこれをやります。背骨の下、腰椎の下、仙骨を起こして、総てに集中できる状態で笑うのです。
では、皆さん、時間ですので、最後に皆さんと一緒に三位一体の笑いで終りたいと思います。
ちょっとお立ち願いますか。
では、この辺に立たせていただいて、記念写真を撮っていただきます。皆さん肩を2回下に下ろして、臍下の一点に心を静めて、折れない腕の構えを左前に出して、氣を出して下さい。それではご一緒に大きな声で、二回笑いましょう!
それでは、まいります!
「アッハッハッハッハッハッハー、笑顔で、アッハッハッハッハッハッハー」。
「ありがとうございました〜!」
最後の言葉「さようなら」というのは、「この笑いで、元氣になりましたね〜!」という言葉を確認した上でいう言葉なのです。
皆さん、お元氣になりましたね、氣がはじけるように、お元氣になりましたね〜、そうであるならば、さようであるならば、元氣になったのであれば、というところからきたお別れの挨拶が「さようなら」の語源です。そして最後に「ごきげんよう、またお会いしましょう」というのが、日本語の本当の「さようなら、お元氣ですか。ごきげんよう」という日本語の素晴しさを伝え、福島の子供達に日本人の素晴しさを伝えて、未来の、福島、日本を頼むよと子供達にお願いして帰ってきました。
皆様の学校の生徒達にもご希望があればいつでも元氣の出し方を伝えに出かけて行きます!
ご清聴、ありがとうございました。 さようなら皆様、ごきげんよう。
連絡先
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ブログ:<やる氣を育てる心の教育の実践>
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